経口摂取が困難になった時にかつては胃ろうを作る人が多かった時代がありました。しかし、現在は胃ろう造設をする患者が減ってきているらしい。以下は「論座」より抜粋させていただいた内容です。

 今回、その実数を調査するために、厚生労働省の公開データ「社会医療診療行為別統計」などを用い、日本における75歳以上人口あたり胃ろう造設数(胃ろう造設術件数)および中心静脈栄養法件数(中心静脈注射用植込型カテーテル設置件数)を調査した。2011年から2018年までを調査したが(中心静脈栄養法については2013年から2018年を調査)、結果としては、75歳以上千人あたりの胃ろう造設件数は、2011年の約6.3件/年から徐々に低下し、2016年には2.7件/年まで低下していた。その後、微増し、2018年に約3.1件/年となっていた(なお、実数ベースでは、2011年9万2232件/年、2018年5万5740件/年)。

 一方、経口摂取が困難になった際の点滴を用いた栄養法の一つである中心静脈栄養法件数は、2013年の約2.0件/年から2018年約1.9件/年とおおよそ横ばいの推移をたどっていた。つまり、「75歳以上の高齢者における胃ろうは半分に減少、中心静脈栄養は微増から横ばいで推移」ということになる。

 これを数字で見ると、75歳以上の千人あたりの「胃ろう造設数+中心静脈栄養法」は、平成23年度の8.3年/年から平成30年度5.0件/年と減少していた(2011年における中心静脈栄養法件数を2.0件/年で計算)。つまり「経口摂取が困難になっても、医療処置的アプローチをとらずに、食べられる量は少なくなっても経口摂取のままで、死を迎える方が増えてきている」実態が浮かび上がる。

 胃ろうを造設せずに鼻からチューブを入れ、栄養剤を流す経鼻経腸栄養を実施している方もいるため、一概に経口摂取のままで死を迎える方が増えてきていると言いきれない部分もあるが、その数は胃ろうや中心静脈栄養と比較し、多くはないと考えている。(論座より引用)