動脈硬化のリスクとなる生活習慣病を防ぐためには食事療法が欠かせないが、同等に
大事なことは運動である。
 運動を考える上では、運動の内容、回数、頻度、強度などを考える必要がある。生活習慣病を予防・治療するために必要な運動について解説をしていく。
 ここで参考になるのが、国民の健康増進を目指して2021年に策定された「健康日本21(第二次)」である。健康日本21の身体活動・運動の項目からの引用であるが、はじめにの部分で「身体活動量が多い者や、運動をよく行っている者は、総死亡、虚血性心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、骨粗鬆症、結腸がんなどの罹患率や死亡率が低いこと、また、身体活動や運動が、メンタルヘルスや生活の質の改善に効果をもたらすことが認められている。更に高齢者においても歩行など日常生活における身体活動が、寝たきりや死亡を減少させる効果のあることが示されている」と記載されている。
 身体活動量というのは、身体を動かす全ての活動を指すが、一般的には歩数で評価されることが多い。歩数に関しては、1日に1万歩を目指すことがいいと昔から言われている。健康日本21では、日本人成人の歩数の現状は、1日平均で、男性8,202歩、女性7,282歩であり、最近10年間の歩数の増加傾向を考慮して、当面10年間の目標として、男女とも歩数の1,000歩増加を目指し、1日平均歩数を男性9,200歩、女性8,300歩程度を目標としている。また70歳以上の高齢者においては、1日あたりの平均歩数の現状は、男性が5,436歩、女性が4,604歩であり、今後10年間で1日当たり歩数の男女とも1,300歩増加を目指し、1日平均歩数を男性6,700歩、女性5,900歩程度を目標としている。

 歩数は万歩計で測定するが、携帯のアプリなどを利用するか、安い物では1000~2000円ほどで購入ができるため利用していただきたい。やり方としては、まず1日でご自分がどの程度歩行しているかを1週間程度で把握した上で、少しずつ無理のない範囲で歩数を増やしていくことをお勧めしたい。なぜなら、運動は、まずは継続する運動習慣を身につけることが大切であると考えるからである。運動習慣がない方が「よしやるぞ。」と意気込んで負荷の高い運動に取り組むと継続ができない。まずは運動習慣をつけた上で、少しずつ負荷を増やしていくことが大切である。
 運動習慣者の定義であるが健康21では、「1回30分以上の運動を、週2回以上実施し、1年以上継続している人。」としている。まずは、5分でも10分でもいいので、週2回以上を1年継続を目指していくことが継続のポイントだと考える。
 ご自身が運動習慣の定義にあてはまるかをみていただき、まずは歩数を計ってみる。そこから始めていただきたい。