食事をとる場所は、椅子や車椅子、ベッド上など様々な設定をその人に合わせて決めていく。場所を決めるのみではなく、食事の時の姿勢が重要である。嚥下がしやすく誤嚥を防ぐ姿勢として、①足底が接地していること②骨盤が後傾(後ろに傾くこと)せずに前傾していること、体幹が左右前後に崩れず保持できていること③頸部が過剰に曲がったり反ったりしていないことである。頸部の姿勢に関しては、誤嚥に直結するため、頸部から頭部の安定は特に重要である。軽くうなずいているくらいの姿勢がよいとされる。

上記①~③の姿勢に近づくよう、リハビリテーションでは、ストレッチや筋力訓練、姿勢保持練習などの運動療法が実施されている。年齢や脳血管障害などの既往によっては、ストレッチや筋力訓練等では解決できない不可逆的な問題も多くなるため、その他の対応が必要となる場合が多い。
その際、そのほかの姿勢の整え方としては、椅子で食事をする場合は、椅子の高さや座面のクッション、テーブルの高さなどの設定を行う。車椅子で食事をする場合は、上記に加え背もたれの角度の設定や、頭を支えるヘッドレストの位置などの設定を行う。ベッド上では、介護ベッドの背もたれの高さの設定や、クッションなどを使用して理想の姿勢に近づけるようにしていく。食事の場所に関しては、その方の身体機能や体力に合わせて選択されるが、どの設定でもよい姿勢を目指すことは変わらない。
よい姿勢を保持するための体力も重要である。食べ始めはいい姿勢をしていても、時間の経過で姿勢が崩れてくる方もいる。その際は、ご本人が姿勢の修正が困難な場合、介助者は姿勢を修正してあげる必要があるだろう。もしくは、疲れが強く出る方の場合は、食事をとる直前に食事の姿勢に設定してあげることがよいだろう。
食事の介助者が一人ではなく、日によって変わる場合もあるだろう。その場合は、誤嚥を防ぐよい姿勢を設定し、その姿勢を写真に撮って、見える場所に貼っておき、介助者で共有するのがよい。
このように誤嚥性肺炎と姿勢は関わりが深いため、誤嚥性肺炎を経験した、もしくはリスクが高いと判断された方は食事の際の姿勢を一度見直すのがよいだろう。その際は、その方に飲みこみをしてもらい、様子をみながら設定することに加え、姿勢に詳しい病院や地域のリハビリテーションスタッフへ相談していただくのがよいと考える。